建て替えの資金計画で多くの方が悩むのが住宅ローンです。新築一戸建てや中古住宅の購入と違い、建て替えには「既存住宅ローンの残債」「解体費・仮住まい費の借入」「建物完成前のつなぎ融資」など、特有の論点が出てきます。さらに親の土地に建てる場合や、二世帯住宅の場合は、ローンの組み方がさらに複雑になります。
住宅ローンを正しく理解しないまま進めると、つなぎ融資の金利負担で予想外の費用が発生したり、解体費や仮住まい費を自己資金で全額用意することになって資金繰りが厳しくなったりします。建て替えの計画初期から、住宅ローンの仕組みを理解しておくことが重要です。
この記事では、千葉で建て替えを検討している方に向けて、建て替え特有の住宅ローンの論点、つなぎ融資の仕組みと費用、既存ローン残債がある場合の進め方、親の土地・二世帯のローンの組み方、金融機関選びのポイントを解説します。
建て替えの住宅ローンが新築購入と違う3つのポイント
建て替えで利用する住宅ローンは、土地を購入して新築する場合や、建売・マンションを購入する場合と比べて、いくつかの違いがあります。
1. 解体費・仮住まい費が必要になる
建て替えでは、新築工事の前に既存住宅の解体工事が発生します。木造住宅で100万〜200万円、仮住まい費(6〜10ヶ月)で40万〜150万円の費用が、新築工事費とは別に必要です。これらを自己資金で全額用意するか、住宅ローンに含めて借り入れるかを最初に決める必要があります。
近年は、解体費・仮住まい費を含めて借入できる「建替えローン」を扱う金融機関が増えており、自己資金を温存できる選択肢として活用されています。
2. 既存住宅ローンの残債がある場合の対応
建て替える家にまだ住宅ローンの残債がある場合、新たな住宅ローンと残債の合算で借入が可能か、どのタイミングで残債を完済するかが重要な論点になります。残債と新築用ローンを統合して借りられる住宅ローンや、ダブルローン状態での進め方を提案できる金融機関を選ぶ必要があります。
3. 建物完成前の支払いに「つなぎ融資」が必要
住宅ローンは建物が完成して引き渡される時点で実行されます。しかし、建て替え工事では契約金・着工金・中間金などが工事の途中で発生するため、建物完成前にまとまった資金が必要です。これをカバーするのが「つなぎ融資」です。
つなぎ融資の仕組みと費用
建て替え特有の論点として、最も理解が必要なのがつなぎ融資です。仕組みを正しく把握していないと、想定外の金利負担が発生することがあります。
つなぎ融資とは
つなぎ融資は、住宅ローンが実行される前に必要な資金(着工金・中間金・解体費など)を一時的に借り入れるためのローンです。建物完成と引き渡し時に実行される住宅ローンで、つなぎ融資をまとめて返済する仕組みになっています。
つなぎ融資は無担保(建物がまだ完成していないため担保にできない)で、住宅ローンとは別に契約する短期融資です。借入期間は数ヶ月〜1年程度です。
つなぎ融資の金利と費用
つなぎ融資の金利は、住宅ローン本体より高く、一般的に年2〜4%程度です。住宅ローンの適用金利は2026年5月時点で変動金利が主要行の最優遇でおおむね年0.9〜1.1%台、フラット35など全期間固定金利が年2.7%前後、10年固定が年2.6〜3.1%台が中心で、いずれも日銀の利上げを受けて上昇傾向にあります。これと比べても、つなぎ融資には相対的に高い金利が設定されています(金利は金融機関や時期、審査条件によって変わるため、契約時に最新の数値を確認してください)。
つなぎ融資にかかる費用は以下の通りです。
- 金利:年2〜4%(借入期間中の利息)
- 事務手数料:10万円〜10万円超(金融機関による)
- 印紙代:契約金額に応じて1万円〜数万円
具体例を挙げると、つなぎ融資で1,500万円を6ヶ月間借りた場合、年利3%なら利息は約22.5万円となります。事務手数料・印紙代を含めると、つなぎ融資全体で30万〜40万円程度の追加コストが発生する計算です。
つなぎ融資が必要になる支払いタイミング
建て替え工事では、一般的に以下のタイミングで支払いが発生します。
- 契約金:請負契約時に建築費の10%程度
- 着工金:工事着工時に建築費の30%程度
- 中間金:上棟時に建築費の30%程度
- 残金:引き渡し時に建築費の残り30%程度
住宅ローンが実行されるのは引き渡し時のみのため、契約金・着工金・中間金(合計で建築費の約70%)は引き渡し前に支払う必要があります。これらを自己資金で賄えない場合、つなぎ融資の利用を検討します。
つなぎ融資の費用を抑える方法
つなぎ融資の費用は工夫次第で抑えられます。
- 分割融資が使える金融機関を選ぶ:住宅ローンを複数回に分けて実行する「分割融資」を使えれば、つなぎ融資が不要になる場合があります。
- 住宅会社の支払い条件を交渉する:契約金・着工金・中間金の比率を調整できる住宅会社もあります。早期支払いを減らせれば、つなぎ融資の金額を抑えられます。
- 自己資金を最初の支払いに充てる:契約金・着工金は自己資金で支払い、中間金以降をつなぎ融資にすることで、借入期間と金額を圧縮できます。
- 親からの援助を活用する:「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税の特例」(2026年12月31日まで最大500万円、省エネ等性能の高い住宅は最大1,000万円)を使えば、親からの援助を非課税で受けられます。ただし、贈与を受けた翌年の3月15日までに引き渡し・居住することが原則です。
既存住宅ローンの残債がある場合の建て替え
「今住んでいる家にまだ住宅ローンの残債がある」「建て替えで新しいローンを組めるのか不安」という方は少なくありません。残債があっても建て替えは可能ですが、いくつかの選択肢を理解しておく必要があります。
選択肢1:残債を一括返済してから新規借入
自己資金や親からの援助で既存ローン残債を一括返済し、新たに建て替え用の住宅ローンを組む方法です。最もシンプルですが、残債が大きい場合は現実的でないことが多くなります。
選択肢2:残債と新規借入を合算して借りる
金融機関によっては、既存ローンの残債と新築用の借入額を合算して、新たな住宅ローンを組める場合があります。この場合、既存ローンは新規ローンの実行時に一括返済され、借入は新規ローンに一本化されます。
ただし、合算後の借入額が世帯年収に対して多すぎると審査が通らないこともあります。住宅ローンは一般的に年収の7〜8倍程度までが借入可能額の上限とされており、残債を合算した結果この範囲を超える場合は、自己資金の追加や借入額の調整が必要になります。
選択肢3:建替えローンを利用する
建替え専用の住宅ローン(建替えローン)を扱う金融機関では、解体費・仮住まい費・既存ローン残債をすべて含めて借入できる商品があります。条件は金融機関によって異なるため、複数の金融機関を比較するのがおすすめです。
残債がある場合の進め方のコツ
残債がある状態で建て替えを進める場合、以下のコツを押さえておきましょう。
- 金融機関への相談は住宅会社選びと並行して早期に始める
- 残債の金額・残り返済期間・金利を正確に把握する
- 世帯年収・自己資金・将来支出予定を整理してから相談に行く
- 複数の金融機関で借入可能額の事前審査を受ける
- 固定金利・変動金利・期間選択型のメリットデメリットを比較する
解体費・仮住まい費はローンに含めるべきか
建て替え特有の費用である解体費(100万〜200万円)と仮住まい費(30万〜120万円)を、住宅ローンに含めるか自己資金で支払うかは、判断が分かれるポイントです。
ローンに含めるメリット
- 自己資金を温存できる
- 引越し費・家具家電購入費など、建て替え期間中の他の支出に資金を回せる
- 住宅ローンの低金利を活用できる(つなぎ融資より金利が低い)
ローンに含めるデメリット
- 借入総額が増えて月々の返済額も増える
- 返済期間が長期化することで総支払利息が増える
- 解体費を含めて借りられる金融機関が限定される
判断のポイント
解体費・仮住まい費をローンに含めるかは、自己資金の余裕度と将来支出予定で判断するのが基本です。教育費・老後資金などの将来支出が控えている場合は、自己資金を温存するためにローンに含める選択肢を検討する価値があります。
逆に、自己資金に十分な余裕があり、月々の返済額をできるだけ抑えたい場合は、解体費・仮住まい費を自己資金で支払うほうが総支払額は少なく済みます。
親の土地に建て替える場合の住宅ローン
親の土地を活用して建て替える場合、土地の名義によって住宅ローンの組み方が変わります。事前に整理しておかないと、希望する借入額が組めなかったり、金融機関を変えなければならなくなったりします。
土地が親名義のまま建てる場合
土地が親名義のまま、建物だけを子の名義で建てるケースです。この場合、金融機関は建物のみを担保にすることになり、以下のような対応を求められることがあります。
- 親が連帯保証人になる、または共同担保として土地を提供する
- 親に「土地を担保提供する」ことへの同意書を提出する
- 土地評価額を含めた担保価値で借入可能額が決まる場合がある
金融機関によって対応が異なるため、親の土地に建てる予定がある場合は、複数の金融機関で借入条件を確認することをおすすめします。
土地を子の名義に変更してから建てる場合
建て替え前に土地の名義を子に変更してから建てる場合、贈与税が発生する可能性があります。土地の評価額が高い場合、贈与税が数百万円規模になることもあるため、税理士に相談しながら名義の決め方を検討しましょう。
名義変更には「贈与」「使用貸借」「賃貸借」「共有名義」などの選択肢があり、それぞれ税金・住宅ローン・相続への影響が異なります。詳しくは親の土地で建て替えるとき名義はどうする?の記事で解説しています。
二世帯住宅でのローンの組み方
建て替えで二世帯住宅にする場合、親世帯と子世帯のどちらが・どの程度ローンを組むかで、複数の選択肢があります。
選択肢1:単独ローン
子世帯(または親世帯)の一方だけが住宅ローンを組む方法です。最もシンプルで、契約も1本だけで済みます。借入可能額は単独の年収で決まるため、二世帯住宅のような大きな建築費の場合、希望額に届かないことがあります。
選択肢2:夫婦ペアローン
夫婦それぞれが別々の住宅ローンを組む方法です。借入可能額が大きくなり、住宅ローン控除も夫婦それぞれで受けられるメリットがあります。ただし、契約が2本になるため事務手数料・印紙代も2倍になります。
選択肢3:親子リレーローン
親世帯と子世帯がリレー方式で1本のローンを返済する方法です。親が高齢でも借入期間を長く取れる、親子合算で借入可能額が増える、などのメリットがあります。デメリットは、親が亡くなった後に子が全額返済義務を負うこと、相続時の取り扱いが複雑になることです。
選択肢4:親子で別々のローン
親世帯と子世帯がそれぞれ別の住宅ローンを組む方法です。世帯ごとに独立した返済計画を立てられますが、二世帯住宅という1つの建物に対して2本のローンを組むため、金融機関の対応や担保設定が複雑になります。
判断のポイント
二世帯住宅のローンの組み方は、世帯年収のバランス、親の年齢、相続の方針、住宅ローン控除のメリットなどで判断します。税理士・ファイナンシャルプランナー・住宅会社・金融機関を組み合わせて相談するのがおすすめです。
千葉で建て替え時に使える金融機関
千葉県内で建て替え用の住宅ローンを扱う金融機関は多数あります。それぞれ商品性・金利・対応範囲が異なるため、複数比較して選ぶことが重要です。
都市銀行・大手銀行
三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、りそな銀行などの大手銀行は、住宅ローン商品が豊富で、金利も比較的低めです。建替えローン・つなぎ融資・親子リレーローンなど多様な商品を扱っています。全国対応のため、千葉県外で勤務している方でも相談しやすいメリットがあります。
地方銀行
千葉銀行、京葉銀行、千葉興業銀行などは、千葉県内に密着したサポートが受けられます。地域の不動産事情・建築事情に詳しく、千葉県内の住宅会社との連携も多いため、地域特有の事情(液状化対策など)を含めた相談がしやすい点がメリットです。
信用金庫・信用組合
千葉信用金庫、佐原信用金庫などの信用金庫は、地域の方を主な顧客としており、丁寧な相談対応が特徴です。融資基準が独自で、大手銀行で借りにくいケースでも対応可能なことがあります。
ネット銀行
住信SBIネット銀行、auじぶん銀行、PayPay銀行などのネット銀行は、金利が低めで諸費用も抑えめなことが多くあります。ただし、対面相談が原則ないため、初めての住宅ローンで不安が大きい方には合わないことがあります。また、つなぎ融資や建替えローンの取り扱いがない場合もあるため、商品ラインナップを事前に確認しましょう。
フラット35
住宅金融支援機構と民間金融機関の提携による全期間固定金利の住宅ローンです。長期固定金利を希望する方や、自営業者など民間ローンの審査が厳しい方に向いています。ただし、フラット35はつなぎ融資の取り扱いがないため、つなぎ融資が必要な場合は別途検討が必要です。
金融機関選びのポイント
建て替えの住宅ローンで金融機関を選ぶときは、金利の低さだけでなく以下のポイントを総合的に比較することが重要です。
1. 建て替えに必要な商品が揃っているか
つなぎ融資・建替えローン・親子リレーローンなど、建て替えで必要になる商品が揃っているかを確認します。1つの金融機関で完結できるほうが、手続きと事務手数料の負担が軽くなります。
2. 金利だけでなく総支払額で比較
金利が低くても、事務手数料や保証料が高い金融機関もあります。借入総額・返済期間・金利・諸費用をすべて含めた総支払額で比較しましょう。住宅ローンの一括比較サイトやファイナンシャルプランナーへの相談も活用できます。
3. 既存ローン残債への対応力
既存住宅ローンの残債がある場合、残債と新規借入の合算が可能か、ダブルローン期間の対応はどうかなど、金融機関ごとに対応が分かれます。残債の処理を含めて相談できる金融機関を選びましょう。
4. 解体費・仮住まい費を含めた借入の可否
建て替え特有の費用(解体費・仮住まい費)をローンに含めて借りたい場合、対応可能な金融機関を選ぶ必要があります。商品の利用条件を事前に確認しましょう。
5. 千葉県内での建て替え実績
金融機関の担当者が、千葉県内の建て替え案件に慣れているかも重要です。千葉県内の住宅会社との連携実績がある金融機関なら、住宅会社・解体業者との調整もスムーズに進みやすくなります。
住宅ローンの相談はいつから始めるべきか
住宅ローンの相談は、住宅会社選びと並行して、できるだけ早期に始めることをおすすめします。具体的には以下のタイミングです。
- 建て替えを検討し始めた時点:まず借入可能額の目安を把握する。住宅ローンシミュレーターで概算を確認できる。
- 住宅会社2〜3社に絞り込んだ時点:複数の金融機関で事前審査(仮審査)を受ける。事前審査は無料で、複数の金融機関に並行して申し込めることが多い。
- 住宅会社と契約する前:本審査の準備を整える。建築プラン・見積書・本人確認書類などを揃える。
- 住宅会社と契約後:本審査を受ける。承認後、住宅ローン契約を結ぶ。
住宅ローンの相談を後回しにすると、希望していた住宅会社との契約段階で「予算内で借りられない」ことが判明したり、つなぎ融資の手配が間に合わずに自己資金での対応が必要になったりすることがあります。早期相談が建て替え成功のカギです。
まとめ|建て替えの住宅ローンは選択肢を広く持って比較する
千葉で建て替えるときの住宅ローンは、新築一戸建てや中古購入と違って、解体費・仮住まい費・既存ローン残債・つなぎ融資など、建て替え特有の論点を抱えています。これらを正しく理解せずに進めると、つなぎ融資の金利負担で予想外の費用が発生したり、希望する借入ができなかったりします。
建て替え用の住宅ローンを上手に組むには、住宅会社選びと並行して早期に金融機関への相談を始めること、複数の金融機関で事前審査を受けて条件を比較すること、つなぎ融資・建替えローン・親子リレーローンなど建て替えに必要な商品が揃った金融機関を選ぶことが重要です。
親の土地に建てる場合や二世帯住宅にする場合は、ローンの組み方がさらに複雑になります。住宅会社・金融機関・税理士・ファイナンシャルプランナーなど、複数の専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
千葉県内で建て替えに対応している住宅会社は、住宅ローン手続きのサポートに慣れている会社が多くあります。会社選びの段階で「住宅ローンの相談・手続きのサポート範囲」を確認しておくと、資金計画から契約までの流れがスムーズに進みます。建て替え相談前のチェックリストの記事も参考にしながら、準備を進めましょう。
※本ページの金利情報は2026年5月時点の一般的な水準を参考に記載しています。実際の金利・商品内容・申込条件は金融機関や時期により変動します。住宅ローンの詳細は必ず各金融機関の公式情報および担当者への相談で確認してください。本ページは住宅ローンの一般的な仕組みを解説するものであり、特定の金融機関や商品を推奨するものではありません。